蝶の舌
1936年、政局が不安定な頃のスペインのガリシア地方の小さな村。8歳のモンチョは喘息持ちで弱い少年。初めての学校でも戸惑うことばかりだった。そして、そんなモンチョにとっては訳の分からない理不尽な大人達の世界が目の前で繰り広げられる日常の中、モンチョの行く学校のグレゴリオ先生だけが、彼に世の中の素晴らしいこと、輝いてることを教えてくれる人だった。色んな事を吸収していく多感で好奇心旺盛なモンチョは、見る見る逞しく成長していく。しかしいつしか世の中は変わろうしていた・・・・
景色の色が美しく、子供が何とも愛らしい作品でした。前半は少々退屈し眠くもなりましたが、あまりに意外なラストに少しばかりショックが残ったのも正直なところ。モンチョとグレゴリオ先生との出会いがあんな風に終わるなんて・・・・。時代が違っていれば全く違うエンディングになっていたはずなのに・・・・。
このお話は、一見穏やかで子供達の愛らしさが際立つ反面、大人達の残酷で汚らわしい世界も描かれています。主人公のモンチョがとても可愛いだけに、その大人達の風景が一層汚れて見えます。
清らかで無垢なモンチョの目に映る大人達の行動はおそらく実に不可思議で、そんな中グレゴリオ先生だけが、彼の好奇心に正しく答えてくれる唯一の大人でした。尊敬すべきとても大きな存在の先生。しかしモンチョが迎えた先生との最後は、きっとモンチョにとってはこのお話のどんな理不尽な事柄より、最も理解しがたい事となったでしょう。
スペインの内戦のことなどを知らない私には、改めて勉強にもなりました。