リチャード・ニクソン暗殺を企てた男
CAST:ショーン・ペン、ナオミ・ワッツ、ドン・チードル
1974年。妻と別居中のサム・ビック(ショーン・ペン)は、事務家具店の販売員として働いていた。しかしその内経営者に嫌気が差し、妻や子供ともうまくいかないサムは、しだいに当時の指導者であるニクソン大統領や権力者に反感を抱くようになる・・・・
1974年2月にワシントンのボルチモア空港で実際起きたハイジャック未遂事件を元に描いた作品。
この大それた野望を抱いてしまった男サム・ビッグは、やろうとしていた事の大きさから比べると驚くほど小さな小さな情けな~い男。しかし、一見こういう小さく情け無い男がキレるとこわいんですな。だってこういう人がキレる時って、完全に常軌を逸してますから。
日頃から色んな事に不満を抱え怒りを煮えたぎらせているけど、結局頭脳明晰じゃないから必ず相手に論破されてしまう。そして又怒りが沸く。そこで客観的に自分を見直すことだけでも出来れば救いがあるのかも知れないけど、そこで自分を過大評価して自己愛に走ったり責任転嫁の気持ちが生まれると、彼らの怒りの矛先はおかしな方向へと向かったりするのです。
能力が無いなら無いなりにつかめる幸せもあるはず。それなのに分不相応な夢を見て、どんな形ででも世間に自分の名を知らしめたいと思うようになる・・・・
この事は決してサム・ビックに限らず、大きな事件を起こす人物に時折見られる傾向ですね。
この作品、正直内容的には、へぇ~そんな事があったんだぁ。だから何?って感じなんですが、そこは名優ショーン・ペンの名演技がググッと惹きつけてくれます。流石です、ショーンさん。とにかく殆どがショーン・ペンなんですから・・。ナオミ・ワッツやドン・チードルなど名優が脇をガッチシ固めてくれてるのも又良しなのですが、とにかくショーン・ペンの演技が素晴らしい。
人の良い情け無い男から狂喜に変わるまでを見事に演じています。